家路に着く道すがら、私はそんな事を考えながら、歩いていた。

 後、15分も歩けば家に着く。

 人気の無い路地裏は、とても静かで、今の私には必要の無い、考える時間を押し付けてくる。

 もう、過ぎた事だ。

 考える必要など、思い出す必要など無いのだ。

 そう思ってはみた物の、空と同じ様に突然雲が割れ、太陽が照らしだす筈もなく。

 先程の情景は、私に違う答えを求めるように浮かびあがろうとしてくる。