兎心の宝箱【短編集】


高速回転しながら飛んでくるペンギンを、かろうじて避けはしたが頬に鋭い痛みが走る。

振り返ると、ペンギンは見事に着地して、次の攻撃体制に移ろうとしている。

「あのさぁ? 動物園とかで見せ物にしたのは謝るけど比較的ペンギンさんには、何もしてないと思うけど」

苦し紛れに言い訳してみる。

若干だが功をそうしたか、ペンギンの動きが止まった。

「貴様等、人間が地球を暖めたせいで俺達の生活場所は、少しずつ減っている。よもや忘れたとは言わせんよ」

ペンギンの目には、闘志が益々みなぎっていく。

逆効果だったかもしれない。