兎心の宝箱【短編集】


「始め!」

モグラが戦いを始める合図を発する。

どうしよう。

僕は、誰かと喧嘩したこともないんだが。

取り敢えずペンギンと距離を取って、昔みた格闘マンガを思い出しながら、構えをとる。

「ふん! 貴様等のせいで住む所を追われた同朋の仇! 受けてみよ!」

ペンギンが両腕? を回しながら、更に距離をとる。

「くらえ! ドリルスピンペンギントルネードファイアァァァー!」

叫ぶと同時にペンギンは、嘴を前に突き出し体を回転させながら、さながらドリルのように、もの凄い勢いで飛んできた。

前言撤回。

曲がりなりにもカバやライオンを倒してきたペンギンなんだ。

簡単に倒せる筈がない。