兎心の宝箱【短編集】



「赤コーナー! 地球の覇者にんげーん!」

レフリーであるモグラが朗々とした声を挙げる。

「青コーナー! 南極から来た絶対王者皇帝ペーンギーン!」

黄色と赤のトサカを携えたペンギンが現れた。


これなら……、どうにかなるか?

闘技場の真ん中でペンギンと顔を合わせた。

ペンギンは、どこか不遜な態度で腕を組んでいる。

頬にある十字傷がまた憎い。

モグラがルールを説明する。

「男の尊厳を失う攻撃はNGだ! それ以外は、降参するか命を失うまで続けられる。OK?」

要するに金的だけは駄目ってことだな。

命のやりとりをするのに、どこか抜けている。