兎心の宝箱【短編集】


試合は滞りなく進んだ。

そしていよいよ準決勝へとコマは進められた。

「行ってらっしゃいませ、山崎様。御武運を」

兎が闘技場への扉を開く。

「君は人間が憎くないのかい?」

「別に……、他の肉食の方達が支配者になってもそう変わりませんから。ただ、もう少し地球は大事にして欲しいですね」

それだけ聞くと、僕は闘技場の真ん中へと足を進めた。