兎心の宝箱【短編集】


 ミランダより更に北、クルバの村で魔王は勇者と対峙していた。

「まさか魔王自ら此処までくるとは思わなかったよ。しかも魔軍全てを陽動にしてまで」

 名も知らぬ勇者が話し掛ける。

 そう、この村に勇者が来ているのは分かっていた。三つの町に軍が配備されていた為、ミランダのみを突破しようとした場合、挟撃される恐れがあった。

 またミランダを迂回させて魔軍を送るにしても、ミランダからの増援に叩かれるのは目に見えていた。

 だから魔軍全てを捨て石にして、少数の者だけ引き連れ、自ら此処までやってきた。