兎心の宝箱【短編集】

「と言うことは、ノーベルさんは、この中の誰かが下の階の窓から戻ってきて、何食わぬ顔をしてみんなと一緒に集まってきたと?」

 アリスが質問する。ノーベルは、その質問に首を振りながら答える。

「それもありえません、グレーバー卿の部屋の下には窓がありませんから」

 それを聞いてアリスが声を荒げる。

「それだと……、それだと密室になるではないですか?」

「えぇ、完全な密室殺人ですよ」

 食堂にどよめきが走る。その様子を満足そうに見ながらノーベルは続ける。