兎心の宝箱【短編集】

 アーリーとアリスは頷く。

「私は、悲鳴が男性と言うこともあり、手始めに目の前のグレーバー卿の部屋のドアを叩きました。ですが返事は、ありませんし鍵も掛かっていました」

 そこでノーベルは、一息つけカップを手にとる。

 ガッデム警部は、それをにらみつけながら先を促す。

「そうこうしている間に皆さんが部屋からでて集まってきました。その頃には、悲鳴が聞こえてから少し時間が経っていました。それでも出て来ない事に一刻の猶予も無いと私は感じ、ドアを突き破ったのです」

 みんなは知らないうちにノーベルの語り口調に引き込まれていた。

 ただ一人を除いて。

「そして部屋が開放され、グレーバー卿が椅子に座ったまま殺されたのを発見したのです」

「それで、どうしてこの中に犯人がいる事になるのかね? あの時部屋に鍵が落ちていたのは、みんな見ているし、窓は開いたままだった」

 ロバートが疑問を投げかける。

「外部からの犯行は不可能なんですよ、ロバートさん。そうですねガッデム警部」