兎心の宝箱【短編集】


「私は、アナタを倒してみせる!」

 自らを鼓舞するように彼女がつぶやく。

 真剣な眼差しがこちらを射抜く。

 彼女がどういう理由で俺に戦いを挑むのかわからない。
 だが決して憎しみや怒りなどではなく、ただ自分の持つ力の全てをぶつけて来ているのはわかる。

 それに答えないわけにはいかない。

「悪いが負けるつもりが無くなった、勝たせてもらうよ」

 そう言うと歩幅を広げた構えに変える。