兎心の宝箱【短編集】


「そりゃ可愛い女の子を家に連れ込もうとする男がいるんだ。紳士としては助けなければ」

「いつから紳士になったんだお前は!」

 少女は、話を聞いていたのだろう。

 顔を赤くして下を向いたまま付いてくる。

「いい加減話してくれないかな? 本当にわからないんだ、俺が悪い事をしたのなら謝罪する。教えてくれないか?」

「ちゃんと戦ってくれるなら、勝っても負けても話します」

 わかった。

 ちょうど家に着いたので、俺はそれだけ言うと練習場に通す。

 練習場は、畳15畳の何もない部屋だ。

 女を殴る趣味はないがしようがない。

 顔だけは気をつけよう。