「なんでまたそんな有名人が俺を狙うんだ?」
 
 学校の門を過ぎた所で、一応後ろを確認しておく。

「それは、あれじゃないか? 最強と名高い北条流柔術の伝承者と戦いたくなったんじゃないか?」

 こいつは冗談めかして怖い事を平気でいう。

「別に最強でもないし、名高くもない。ついでに俺は学校で、うちがマニアックな格闘技を伝承している事なんか一言も言った事がない。したがってそれが理由なら俺は君をボコボコにする必要があるな」

 遠い目をして神谷に話掛ける。

 ちなみに神谷にも俺から教えた事はない。

 どこから調べたのか、北条流柔術の事を知って俺に近づいてきたのだ。