兎心の宝箱【短編集】


「救急車を呼ばないと!」

自分を奮い立たせる為に言葉をつむぐと、私は立ち上がる。

そして、電話の置いてある居間に向かった。



そこには、知らない男が立っていた。

ホームレスのように薄汚れた、中年の男。

手には赤く染まった包丁が握られている。

布団の上には、胸が血に染まり、口から血が垂れている父。

「いやぁぁぁぁぁぁ!」

思わず叫んだ私の胸を、男の持つ包丁が貫く。