「良くあの猛攻を退けたな? 北条流柔術ってのは伊達じゃ無かったんだ」
教室をでて走ると、いつの間にか横にいた神谷がそう問い掛けてくる。
「てめぇ一人だけ逃げやがって!」
「いいじゃないの。俺は、関係なさそうだったし、怪我も無いようだし。それにしても春奈ちゃんの空手と試合が生で見れるなんてラッキーだったな」
飄々とした感じで神谷は、聞き捨てならない事を言う。
「お前あの娘の事知ってるのか? ていうかあの回し蹴りの鋭さはなかなかの物だったからな、格闘技おたくのお前なら知っててもおかしくないか」
「失礼な! マニアと呼んでくれ、マニアと! それに詳しくなくてもほとんどのやつは知ってるよ。一条春奈、空手で二大会連続個人優勝してる強者だよ。しかもあれだけ可愛いからテレビにも何度か出た事あるぜ」
なんか神谷が自分の事のように胸を張って答える。



