流れに流れ刀がこの地に辿り着いたことがわかり、馨がまず初めに試衛館へ赴いたのには理由があった。
もともと西─所謂堺方面の出身である馨はあまり東の地理にあまり詳しくない。
地図で見たことがある程度まである。
だからこそ馨は頼りに来た。
この地を知り、かつ己が信用できる人間を。
それが沖田惣次郎─────馨の元許嫁。
沖田と立花の縁は偶然が重なったものであったという。
それは沖田氏が藩を脱藩した頃に始まった。
行き場を無くしかけていた沖田氏に立花の当時の当主、馨の父親が声をかけたのだ。
それは隠密である立花にしてみれば極めて珍しい行為。
しかしそれも何かの縁だったのだろう。


