溶けるように響いたその言葉。
砂糖菓子のように優しく溶けて、麻薬のようにくらくらと眩暈を伴うそれ。
一度味わってしまえば最後。
もう、逃げられない。
馨は更に顔を赤く染めながら、歳三の言葉の通りぎゅっと固く目を瞑った。
その表情からは緊張が見て取れる。
それを確認して一人幸せそうに笑う歳三。
そして思うのだ。
今の顔を誰にも見られていなくて心底よかった、と。
だって今…俺絶対顔やばい。普通とか装えねぇもん。
今の顔の赤さは馨と大差ないだろう。それは歳三自身理解している。
それでも熱くなる頬を自分じゃどうすることも出来なくて。
どうかこの熱が少しでも馨に伝わるようにと願うばかりだ。


