紙吹雪





「嫌、だったか…?」




頬から唇が離れると暫しの二人の間に流れる沈黙。

しかし気まずいわけではない。


気まずさよりも、寧ろ何となく甘い香りのする緊張感が二人の間を包んでいた。


それを誰よりも感じていたのは間違いなく歳三の方で。


数秒の沈黙が明け、そう言いながら少し意地悪そうな笑みを浮かべた歳三に、馨は顔を真っ赤にさせながらゆるゆると首を横に振る。


馨のそんな仕草に満足したらしい歳三はそれは驚くくらい綺麗な笑みを浮かべた。


それと同時に優しく馨の頬を包む歳三の両手のひら。


歳三は馨の小さな耳に唇を寄せると、最大限に柔らかくそして甘く囁く。




「かお…目瞑って」