馨のそんな様子に気付かぬまま、歳三は馨の腕や足、肩口などに薬を塗っていく。




小さな体には、数えるのも嫌になるほどたくさんの傷がついていて。





…どうしたらこんな怪我すんだよ、こいつ。






眉を悩ましげにひそめながら理由を問おうと思った歳三だったが、ふいに先程の馨の表情が頭をよぎった。



また馨にあんな曇った表情されたら…




そう思うと歳三は言葉を紡げない。




それに、きっとかおは何も答えてくれねぇよ、な。




傷ついた体を見ながらそこまで考えると、歳三は自らの疑問を口に出すことなく、ゆっくりと馨のやわらかな黒髪を優しくすいた。