それからというもの、歳三はそれまでよりも頻繁に多摩川の畔へと足を運んだ。


しかし、最後に会ったあの日から一度も馨に会うことは出来ていない。


それでも今の歳三の中に"諦める"などという文字が存在するわけもなく、馨に会うためだけに通い続けるという日々が続く。



そして時間だけが吹き付ける風のように無常な早さで流れていった。




そんなある日。


いつものようにぶらぶらと多摩川を目指し歩いていた最中、ふと新月の日に襲われた家のことを思い出した歳三。




「あの人…今どうしてんだ?」




ふいに過った思考はあっという間に歳三の頭を占めて。