「もうすこしー!」


慌てて教科書やふでばこを
鞄に押し込んだ





「――よし!終わった~!」



「ぢゃぁ帰るか」


と、奏ちゃんが微笑みながら
左手を差しだした


一緒に帰る日は
いつも手を繋ぐのに、まだ馴れない・・・


だから奏ちゃんの左手を
ジーっと見ながら止まっていると


早く、とでも言うように
左手がひらひらと動いた



勢いよく奏ちゃんを見上げると、

口角をキュッとあげた意地悪そうな笑みを浮かべてた



まわりからは
かっこいいっ!と言う悲鳴にも近い声が聞こえてハッとした