「どんなに強い心や体を持っていたとしても、翼に傷ができたら飛ぶことはできない。
今では癒威のような人を受け入れてくれる人は多くなってきたけれど、まだまだ偏見があって、自由にはばたけない人も、たくさんいるの。
完全に自由になれるまでは、まだ時間がかかりそうね」
人間の2つの色……それを連想した。
本々生れ出る人間の原色は、『赤』と『青』。
三原色のように、人間にも『緑』があったらいいのに……。
そして原色にとどまらず、「限りなく青に近い緑」とか、「限りなく赤に近い緑」とか……
理解が深まれば深まるほど、人間の原色は、原色を遥かにしのぐほど豊富になると思う。
「良かったら、あいつと仲良くしてやって。近くにいる間だけでもいいから」
太田の兄が、僕を見て微笑む。
「癒威は君のこと、最高の友達だと思ってるみたいなんだ」
胸の辺りがくすぐったくなった。
照れくさいような、誇らしいような、そんな感じだ。
そして、温かい感じ……。



