(やったあーーー!!)
……なんて喜びたい本音をぐっと堪えて次の言葉を絞り出す。
「高校生?」
「そうです」
やっぱり。
年は近いみたいだ。
「名前、聞いてもいい? 僕は西高の槍沢拓也」
「オオタユイです」
「オオタユイ……?」
どこかで聞いたような……
“雨に濡れているのも
お構いなしに
足を急がせることもなく
歩いていく。
自分から話を
持ち出さない彼女と
会話を作ろうとして
色々な話をしたら、
通う学校は違うけど、
同い年だと
いうことを知った。
せっかく会話も
盛り上がったのに
途中で分かれ道にさしかかって
そこで僕らは
サヨナラをした。
終始ドキドキという気持ちが
なかったかと言えば、
それは真っ赤な嘘になる
心の高鳴りを
押さえきれず、
眠れない一日を
終える始末だった。
──これが、
僕らの出会い。
同時に、
『絶対に叶わない』
僕の淡い初恋でも
あったのだけれど──”