「でも恋歌、わざわざ薪坂さんが来てくれたんだから、ドタキャンとかなしだね」


ニヤってしながら早苗が言う。


今は、昼休み。


キャンパスのベンチで2人してサンドウィッチをパクついてる。


急に早苗が変なこと言うから、食べかけのサンドウィッチを危うく落とすとこだった。


「な、な、何よ。私こう見えてもちゃんと約束は守るの。ドタキャンなんてしないから」


あわててサンドウィッチを落とさないように前のめりになったせいで、言葉ので出しが突っかかってしまった。


でも……そうだよね。


早苗の言う通り。


わざわざ薪坂さんが大学まで来てくれたんだから、今更後には引けない。


そう実感させられた早苗の忠告だった。


もちろん、元々ドタキャンとか考えてないし。


いくら男嫌いの私でも、自分で了解した約束は守るし、自分で責任を持ってるつもり。


そこで何があっても相手だけの所為には決してしないっていう常識だけはわきまえてるつもり。


……まぁ、明らかに向こうが悪かったら責め倒しますが。


「明日が勝負だね」


ふと早苗が呟いた言葉はあまり耳に入ってこなかったけど、大して意味はないと見た。


だから、このときはあまり深く考えはしなかったんだけど……。