朝目が覚めて、目に入ったケータイは着信を知らせるランプを光らせていた。


眠い目をこすりつつケータイを開けば、薪坂さんから連絡が入っている。


夜、電話くれたんだ…。


気づかないでそのまま寝ちゃったみたい。


急いで薪坂さんにかけ直す。


「もしもしっ。おはよう、恋歌ちゃんっ」


2回のコールで電話に出た彼に、驚きつつおはようございます、と返す。


「昨日…電話くれてたみたいで。すいません」


「ううん、気にしないで。声聞きたかっただけ」


朝から明るく弾けるような声なのは、私のおかげかななんて自惚れてみる。


「あ、そうだ。恋歌ちゃん。今日暇?」


思い出したような口ぶりで聞かれて、ふと昨日のことを思い返した。


如月さんといるところに現れた彼は、私とデートしたがってたっけ。


「……えぇ、暇ですよ」


ちょっと考えて何もなかったなと小さく頷く。


「そっか!!じゃあこれから会おう!!」


「え!?」


「迎えに行く!!」


それだけ言ってブチっと切れた電話を呆然と眺めた。