「……ごめんなさい」
彼の想いに応えたくて、なにか言わなきゃと思ったのに、口から出たのは謝罪の言葉だった。
「どうして恋歌ちゃんが謝るの?」
少し驚いたように笑った如月さんが後ろから私の顔を覗き込んだ。
「あ、の…私、分からないんです…」
なにか伝えなきゃと思うけど、上手く言葉が出ない。
「分からない?」
挙動不審な私の言葉を優しく繰り返して聞く。
コクりと小さく頷いて、ゆっくり口を開く。
「……私の気持ち…も、…どれが恋愛の"好き"って気持ちなのかも…」
男の人が嫌いだった少し前の私からは想像もできないほど自然に彼らと接することができるようになったけど。
…正直まだ信用できてないのも事実。
もしかしたら、全部嘘かもしれない。
春瀬のことがトラウマでどこまで信じていいのか分からない。
「……恋歌ちゃん。俺ね、卒業したら海外行こうと思ってるの」
私の後ろで穏やかな声が紡がれたその言葉は、驚きのものだった。
「え…海外って……。如月さん、実家継ぐんじゃ…?」
思わず振り返ろうとすれば、強く抱き締められて動けなくなってしまった。

