たまにしか身に付けないエプロンを纏って、キッチンに立つ。
オムライスってどうやって作るんだっけ……。
あまり卵が得意じゃない私は、自分でオムライスを作って食べたことがほとんどない。
それでも、前に一度早苗と一緒に作ったことがあるから、なんとなく覚えてはいるんだけど。
とりあえず引き出しから料理本を出してオムライスのページを開いて眺める。
手順を追っていくうちに、ほとんど思い出した。
キッチンの端の方に本を置いて、材料を出して取りかかる。
「なんかいいね。新婚みたいで」
真面目な顔で言った如月さんに、こっちが恥ずかしくなって目を泳がせる。
彼の方を見ないようにして料理を進めた。
「はい、どうぞ」
ずっと視線を感じたまま作り上げたオムライスは、決して上手くはないけれど、味は確かだと思う。
恐る恐る如月さんの前に差し出せば、どこか嬉しそうな顔をしている。
「ありがとう」
自分の分も置いて、彼の隣に腰掛ける。
「いただきます」
しげしげとオムライスを眺めた後、スプーンを取り上げて呟いた彼を少し心配な眼差しで見つめる。
切り分けてスプーンですくい取ったオムライスを口元へ運ぶまで瞬きもせずに見てしまう。
美味しくなかったらどうしようとか、卵が彼の好きな感じじゃなかったらとかいろいろ考えてしまうから。

