車の中でルンルンの如月さんは私の家に着いても変わらないテンションだった。
「恋歌ちゃんの家、初めてだね」
「そう、ですね」
辺りをキョロキョロ見ながら廊下を進んでいく。
家に男の人入れたの、初めてかもしれない…。
ていうか、普通に考えてこの状況まずくない?
女の子の独り暮らしの部屋に入ってくるなんて……。
でも如月さんはまったく気にしてる様子もない。
それどころかソファに座って寛いですらいる。
「……なに作りましょうか」
半分諦めの混ざった声色で尋ねれば、しばらくうーんと考え込む。
あんだけルンルンしてたのは、私に作らせるものを考えていたからじゃないのか。
「オムライス」
「……は?」
あまりにも子供じみた答えが返ってきて、つい間抜けな声をあげてしまう。
「だから、オムライス。作れる?」
クイっと首を傾けて聞かれたので、反射的にコクンと頷く。
「良かった。じゃ、よろしく」
なんて反則な笑顔を向けられてしまえば、あとはもう作るしかなくなってしまう。

