少しして藤野さんが戻って来た。
「3台ほど前の車がエンストを起こしたようです。きっとすぐ動けると思いますよ」
その言葉通り、それから10分もしないうちに前の車が動きだして、こちらも発進できるようになった。
なかなか狭い道なので、車を脇へ寄せてもスラスラ通れるほどの道幅はなかったのだ。
「ところで、どこへ向かってるんですか?」
「え?…あぁ、別に決めてなかったな」
落ち着いたところで、ふと思いついて質問すれば、彼は思い出したように肯いた。
「決めてなかったって…」
「洸季が俺らの居場所、勘付いちゃってたからとりあえず見つからないようにって出てきただけなんだよね」
悪びれる様子もなく淡々と言ってのけた。
「はぁ…」
私もそう答えるしかなかった。
なんか……取り合いされてるみたいな状況だな。
そう思い当たって、なんだかちょっと嬉しくなった。
クスッと笑みを漏らせば、不思議と言わんばかりの顔をした如月さんと目が合った。
まさか、自分にそんな日が来るなんて思ってなかったから。
まさか、自分がここまで男の人と打ち解けられると思ってなかったから。
嬉しい原因はたくさんあって、いろんな意味での笑みが零れた。

