しばらく黙って乗っていたけど、その間考えていたことで一つ引っかかることがあった。
2人の電話で、如月さんが最後に″俺んだ″って言ってたあれ……。
「どうかした?」
眉間にしわを寄せていた私に気づいて、如月さんは顔を覗き込むようにして聞いて来た。
「あ…いえ…。あの…」
言いかけて、なんだか聞くのをためらう。
妙な予感というか、聞いてしまえばまたうろたえてしまいそうな、そんな気がしていた。
「なあに?」
首を傾げてもっと近づいてきた彼を押し留めながら、恐る恐る口を開いた。
「電話の……俺んだ、ってあれ、どういう意味なんですか…?」
若干上目になりながら尋ねれば、如月さんは少し離れて意味ありげに笑った。
「そんなん、簡単な話だよ」
急に色っぽい雰囲気になった彼は、今度は私の耳元に口を寄せる。
「恋歌ちゃんが……ってこと」
言って、そのままスーッと首筋を撫でられて、思わず後ずさる。
なんだろう…たぶん同じことを春瀬にされたら、私は確実に叫び声をあげるけど、如月さんにされても不思議と嫌悪感がない。
それは、気持ちが違うから?
よく分からないけど、彼の言った意味は理解できた。
やっぱり、予感当たった…。

