相変わらず紳士的な藤野さんは、丁寧にドアを開けて待っている。
「はい、乗って」
「え…」
もう終わりなのだろうか。
ふとそんな不安に駆られた自分に驚く。
「大丈夫、移動するだけ」
そんな私の気持ちに気づいたのか、優しく微笑まれてしまい、恥ずかしくなった。
うろたえながら車に乗り込めば、同じように如月さんも乗り込んでくる。
「あ、あの……」
「ん?」
「ち、近く…ないですか?」
なぜか彼は、車内は広いはずなのに私の横にぴったりくっついているのだ。
「そう?俺はこの距離が好き」
横を向き合えば顔が触れるんじゃないかっていうくらいの距離なのに…。
別に無理やり離れる必要もないし、理由もないからこのままでもいいんだけど。
変にドキドキする心臓を見て見ぬふりして、じっと前を凝視した。

