しばらくお互い黙っていたけど、沈黙はケータイの着信音によって破られた。
「あ……私です」
すいません、と断りを入れて、ベンチから離れた所でケータイを開く。
「薪坂さん…?」
ピッと通話ボタンを押して耳にケータイを当てれば、薪坂さんのいつもの声が飛んできた。
「もしもしっ、恋歌ちゃん」
「もしもし」
あまりにも嬉しそうな楽しそうな声を出すから、笑ってしまった。
「なんで笑うの?」
「いいえ、なんでもないです。…どうしたんですか?」
ちょっとふてくされてる彼を誤魔化して、用件を聞く。
「うん、今どこ?」
と、唐突だな…。
「今、ですか…?」
チラッと如月さんを振り返れば、彼もこちらを見ていて首を傾げていた。
どうしよう…。
この場合、どうやって答えればいいの?
「あれ、恋歌ちゃん?」
「あ…すいません。あの……今は、その…如月さんと一緒で…」
伝えていいものか迷いながら答えれば、案の定薪坂さんは不機嫌になる。
「えー、秀弥と居るの?どこ?今から迎えに行くよ」
若干声が低くなったような気がしたけど、薪坂さんの言葉に驚かされてそんなこと気にならなくなった。

