こんな綺麗な場所で、こんな綺麗な人と、こんなゆっくりした時間を過ごせると思ってなかった。
如月さんの横に座って、しばらく無言で町を眺めた。
時折吹く風が心地よくて、まるでここだけ別世界のようだった。
「……春瀬のこと、俺らがどうにかするから」
「え?」
唐突に口を開いた如月さんの言葉に驚いて、パッと振り向く。
「恋歌ちゃんに、また男嫌いになられたら困る。
せっかくこうして2人でデートしたりも普通にできるようになったのに、また男不信になられちゃたまんない。
だから、俺らが……俺が、恋歌ちゃんの中から春瀬っていう恐怖を取り除いてあげたい」
真っ直ぐ私を見つめる彼に、私も視線を外せなかった。
彼の言葉は真摯で、本当に私のことを思ってくれてるんだって伝わった。
「でも……春瀬は、ほんとに危ない男です。この前一緒にいた人たちも、まともな感じじゃなかったし…。
私のせいで、みんなに迷惑かけたくない…。みなさんに何かあったら、辛くて耐えられない。
…だから、危ないことしないでくださいっ」
言い切ったあと、涙がこぼれた。
昨日の事で、春瀬がどれだけ危険な奴かわかった。
それと同時に、高校時代の恐怖も蘇ってきた。
だけど、それ以上に如月さんたちになにかあったらっていう不安が大きかった。

