着替え終えて出て行けば、背を向けていた如月さんが振り向いた。
「……うん、かわいい」
じっと私を見つめたあと、満足気に肯いた。
「靴も選びに行こうか」
パッと自然に手を取って、彼は部屋の奥へ歩き出した。
その先には扉があって、そこを開けば靴や帽子、アクセサリーなど小物が並んだ部屋が出てきた。
一体なんなんだ、この家は。
驚きより呆れのほうが近いため息を零して、また靴を選ぶ。
「待って。靴は、俺が選んであげる。恋歌ちゃんは、そっちのアクセサリーとか見ててよ」
不意に思い立ったように靴を見ていた私に声をかけた彼は、もう一度私の格好を見て靴を選びに行った。
そこは如月さんに任せることにして、私はネックレスを眺めた。
どれもかわいいけど、きっと高いんだろうな、なんて庶民的なことを考えて、チラッと楽しそうに靴を見ている如月さんを見やる。
どうしてこの人は、こんなお金持ちの家に生まれながら、普通の大学に通って、私みたいな普通の女子に恋してるんだろう。
許嫁とか婚約者とか、いないのかな。
目の端で彼を捕えながら、ごく当たり前のことを考えてみた。
とっても感覚は庶民的だけど、家はお金持ちなわけで、どこか無理してるのだろうか。
考えてみても如月さんの頭の中までは分からない、と思考をやめた。

