ガタッと何かの音で目が覚めた。


「うう……」


起き上がろうとすれば、頭がくらくらして倒れこんでしまう。


「ここ……どこ…」


必死に頭を働かせて、ここにたどり着くまでの経緯を考えてみたけど、一向に分からない。


「あ…春瀬……」


そうだ、春瀬!!


春瀬に会ったこと、そのあと起きたことは鮮明に思い出されたけど、キスされた後の記憶がない。


もしかしたら、ここは春瀬の部屋なのか…。


ガバッと起き上がって恐怖に体を震わせる。


さっきのガタッという音は、どうやらこの部屋の外からしたようだ。


キーッという木のきしむような音がして、ビクッと体をすくませる。


布団を握りしめてじっと音のした方を見れば、ドアが開いて誰かが入ってきたのが分かった。


私のいる場所からは人影の顔を確認することはできない。


怖くて声も出せずにいると、人影はそばのテーブルにお盆のようなものを置くと、こっちを振り返った。


「キャッ…」


思わず叫んでしまったけど、その顔はあまりにも見知ったものだった。