しゃがみこんで後ずっていても仕方ないと、必死に立ち上がって走り出した。


その瞬間。


「あっ!!」


足がもつれて床に手が付きかけたとき、後ろから思い切り突き飛ばされた。


もろにバランスを崩して床に正面から顔を打ちつける。


痛みに目がくらんで、一瞬視界が真っ暗になった。


意識が遠のきそうになる中、春瀬が私を仰向けにさせた。


「そんなにあの男たちが好きか?そんなに俺が嫌いか?


じゃあ、思い出させてやるよ。


……また、男不信に陥ればいい」


最後の一言を、ニヤリと笑って言った春瀬にゾクっと背中を寒気が駆けたのが分かった。


本当に、あの夢の通りになる……。


ブラウスのボタンを開けて、キャミソールをビリッと裂いた。


「ちょ、やだ!!春瀬っ……」


必死の抵抗も、バチンと頬を叩かれて、虚しく終わる。


意識が朦朧としてきて、春瀬が首筋に顔を埋めても抵抗するだけの力がなかった。


「ん……」


簡単に唇を奪われたところで、私の意識は途切れた。