早苗の大声で一気に目が覚めた。
ついでに、頭も冴えてきた。
「うん、まぁね…」
「如月さんからも、薪坂さんからも、心次からも連絡来てびっくりしたんだから!!」
そこでまた早苗は衝撃的な言葉が伝えられた。
「みんな″春瀬って誰!?″って聞いてくるんだもん。
私だって恋歌に聞いただけで、本人とはそんなに接触なかったから…」
そうか。
みんな、心配してくれてたんだ。
そりゃあんな形で去って行った男が、好きな女のなんなのか、気になるか。
「心次に話聞いて驚いちゃった。
恋歌がただならぬ様子で、春瀬くんがすげームカついたって…久しぶりだったよ、あんな怒った心次。
他の二人も同じようなこと言ってたけど」
さっきまでとは違い、落ち着いた喋り方になる。
「うん……、ごめんね、心配かけて。
でも、たぶん大丈夫。もう会わないと思うから」
なんの確証も確信もないけど、会いたくないし、今までだって会わなかったんだから。
「そう…?なら、いいけど。なんかあったら言いなさいよ」
まだ納得のいかない表情の声で言って、早苗は電話を切った。

