何も言わずに部屋を出て行った彼らは、いったいどこへ行ったんだろう。


ボーっとそんなことを考えていると、グーっとお腹がなった。


そういえば、なにも食べてないんだった。


気づいてなにか取りに行こうとすると、スッとお皿が差し出される。


「さっき洸季が持ってきたやつだけど」


ちょっと悔しそうな顔で立っている如月さんから差し出されたお皿を受け取る。


「ありがとうございます」


受け取ったお皿を持って壁に沿って置いてある椅子に腰かけると、彼も自分で食べ物を取って来て、私の横に座った。


相変わらず美味しい料理に感動しながら食べていると、ふと視線を感じた。


振り向くと、微笑んだ如月さんと目が合った。


そのまま固まっていると、彼はぷっと吹き出した。


「ほんと、可愛いね。恋歌ちゃんは」


なんだかしみじみとした感じで言われてしまい、気恥ずかしくなって顔を背けた。


「正直言うとさ、最初、恋歌ちゃんより早苗ちゃんが良かったんだよね」


じっと前を見据えて、ポツンと呟いた。


「え……」


思わず横顔を見つめたけど、彼はこっちを振り向くことなく話を続ける。