私の言葉で、心次が固まるのが分かった。
明らかにやましい気持ちがある証拠だ。
「……あぁ、いたよ」
もう半分開き直ったような口調で言った。
「いたよって……浮気したってこと…!?」
悪気のなさそうな顔をした心次に呆気にとられながらなんとか言葉を返した。
「……やっぱ、お前じゃ無理だったわ」
なぜか少し悲しそうな顔をした心次に告げられたのは、私の思考を停止させるのに十分な言葉だった。
「今までありがとう。楽しかった」
それだけ言って、その場にすべて置き去るかのように走った。
自分の家まで、ただひたすら、涙をこらえながら走った。
そもそもが間違いだったんだ…。
初めてまともに話したその日に、お互い勘違いをして、付き合ったことが間違い。
お互いの何を知ってるわけじゃないのに、好きかも知れないと錯覚を起こしたんだ。
そう思ってみても、溢れる涙は止まらなかったし、私が心次を好きだった事実は変えられなかった……。

