え……心次が女と一緒?
昨日は確か…、心次に用事があるとかで会えなかった。
他の女と会ってるなんて考えもしなかったから、詳しくは聞かなかった…。
「早苗?大丈夫?……ごめんね」
申し訳なさそうに上目遣いで謝った彼女の声で、現実に戻る。
「あぁ…いや、あんたのせいじゃないから、気にしないで」
力なく答えて、そのままふらふらと席に戻る。
全然現実味がないんだけど……。
チラッと心次を見ると、いつも通り楽しそうに男子たちと話している。
心次姉妹は?
……いや、弟しかいないはず。
お母さんっていう可能性は?
…ううん、それならあの子も見間違うはずがない。
考えれば考えるほど、マイナスな方向にしか向かない。
こんなこと、心次に問いただすなんてできないし。
心次に話しかける女子たちがみんな怪しく見えて、私は机に伏せた。

