そのまま心次に見つめられて、頭が真っ白になってきたころ。
「…………すげぇ嬉しい…」
ポツンと呟くように言葉を発したけど、それは私の耳には届かなかった。
「えっ?」
「だから……めっちゃ嬉しいんだけど」
腕を掴んでいた手を離し、今度は両手で私の肩を掴んだ。
軽くゆすりながら、"嬉しい"と満面の笑みを浮かべる。
「じゃあ、今日から早苗は、俺の彼女な」
音符をたくさん浮かべながら、ぎゅーっと私を抱きしめた。
「え、なんでそうなるの…」
苦笑を洩らした私の顔を覗き込んで、唇が触れ合うほどの距離まで詰める。
「早苗も、俺のこと好きなんだろ?」
いつの間にか"早苗"と呼ばれていることと、囁くような声で言われたことに反応して、また顔が赤く染まる。
「……まぁ」
恥ずかしさから素っ気なく答えた私を見てクスっと笑った心次は、優しくキスを落とした。
このときはすごく幸せで、このままずっとこうしてラブラブでいられるんだろうなって思ってたのに……。

