今までそんなに話したことがないと、やっぱり会話も弾まない。
「…家、どこなの?」
あまりにも話すことがなさすぎて、そんなことを振ってみる。
「あー…、駅のそば」
「結構遠いんだ」
そしてまた沈黙が続く。
どうやら私と心次の家の方向は同じらしく、黙って二人で歩く。
「……俺らさ、周りからどう見えてるんだろうな」
急に口を開いたと思ったら、心次はそんなことを言った。
「あ、うん……、どうだろ…」
カップルみたいって思ったことが蘇ってきて、思わず顔を赤らめた。
「付き合ってるように思われてたりしてな」
冗談めいた口調で言うから、反論しようと顔をあげたところで私は固まった。
「……」
心次の顔は真剣そのもので、バックにある夕陽に照らされて、とてもキレイだった。
もともと整った顔をしているから、余計に私の心臓をドキドキさせた。

