手を引いてもらって、また階段に座りなおす。
なんとなくぎこちない雰囲気のまま、お互い目を合わせられずにいる。
「つ、堤はさ……いいやつだよ」
「う、うん……、見てて…分かったよ」
そしてまた沈黙が流れる。
耐えられなくなって、恐る恐る心次の方を盗み見てみると、バチッと目が合ってしまった。
パッとお互いに目をそらして、さっきよりさらに背を向ける。
なんでこんなにぎちぎちなの…。
まるで、付き合いたてのカップルみたい……。
………なに考えてんのっ!!
首をぶんぶん振って慌てて考えを消す。
「……なぁ」
「な、なに!?」
急に声をかけられて焦ってしまい、変な声で返事をしてしまった。
「どうかしたのか?」
顔を覗き込むようにして言われ、まださっきのが残ってるのか、目を合わせられないまま、なんでもないと呟く。
「…帰っか」
不思議そうに首を傾げていた心次も、パッと立ち上がってそう言った。
「うん…」
聞こえるかどうかの声で言って、私も立ち上がった。

