別にこいつにやましい気持ちになることなんてないのに。
そう思えば思うほど、心臓は音を早める。
どしたの、自分……。
「そんな理由で男にキスすんなよな」
「え?」
「……堤だって一応男なんだから」
心次の言葉の意味を考えてると、急に視界が揺らいだ。
「きゃっ…」
階段に押し倒される形で、私を上から見下す。
「ちょ、心次っ」
慌てて抵抗してもやっぱ男の力にはかなわない。
「こういうことになってたかもしんねぇだろ」
頬をちょっと赤らめて、視線を外した心次の言葉に、ようやくさっきの意味を理解する。
「あ……うん。ごめん…」
なんで謝ってんのか分からないけど、心次の顔を見てたら、そう言わざるを得なかった。

