ふーっと息を吐いて、早速アドレスをケータイに登録する。
真っ赤な顔を思い浮かべて、ニヤニヤしていると、背後に人の気配を感じた。
パッと振り返ると、思わぬ人の顔があった。
「な、なにしてんの、心次…」
「別に。通りかかっただけ」
顔をそらしてそっけなく言ったけど、あることが頭を過る。
「堤くんからの手紙、読んだの?」
「ばっ…んなこと…しねぇよっ」
「説得力ないんですけど」
しどろもどろになりながら目を泳がせてたら、自白したも同然なんだけど。
「……悪ぃかよっ」
「悪いでしょ。人の手紙読むなんて」
横目で睨みながら言って、ぷぷっと笑ってしまう。
「なんで笑ってんだよ」
ちょっと仏頂面になった心次に、また笑いが込み上げる。
「おいっ。んな笑うな!!」
怒った心次に私の肩を思い切り掴まれたけど、それでも笑いは治まらなかった。

