顔を離して彼を見ると、さっきまで赤かった顔がもっと赤くなっていた。
ゆでダコ……。
真っ赤に茹ったタコを思い浮かべて思わず笑ってしまいそうになる。
「な、ななな、なにしてっ…!」
堤くんはまるで中学生みたいに頬を抑えてあわあわしている。
「ごめん。ちょっと可愛くて」
悪戯っぽく笑ってみせると、彼はちょっと自嘲気味に笑った。
「可愛い、か…。そういう風にしか……見れないんですよね…」
「………うん、ごめん。ごめんね」
あっさりした性格故に、こういうのもしんみりさせたくない。
「いいえっ。ちゃんと気持ち伝えられただけでよかった」
顔の前でぶんぶん手を振りながら、彼はニコッと笑った。
「これからは、友達として、よろしくね」
こんなに可愛い男の子、友達にならずしてどうしようか。
そんな気持ちで言葉を伝えた。
「はいっ」
晴れやかな笑顔で返事をして、私にアドレスの書かれた紙を渡すと、彼は手を振りながら帰って行った。

