堤くんって、すごいうるさいサッカー部では物静かな方だし、よく分からない人。
辛うじて顔は見分けられるけど、好きだっていう噂を聞いても意識したことはない。
私の心はもう決まってて、堤くんと付き合う気はない。
……もし今日の放課後、告白じゃなかったらどうしよう。
一瞬そんな考えも過ったけど、とりあえず行くだけ行こう。
「……3階東階段…。ここ、だよね」
教室のHRが思ったより長引いて、もしかしたら堤君を待たせてるんじゃないかとドキドキしながら指定の場所に到着する。
この3階東階段は、ほとんど副教科の教室しかなく、人が通らないから告白スポットとなっている。
周りを見回すと、ちょっと奥の方におどおどしながら立っている男子を見つけた。
ゆっくり歩み寄って声をかける。
「……堤くん、だよね」
「はいっ。……急にごめんなさいっ」
思ってたより弱弱しい感じの人だな。
確かにサッカー部だけど目立たないし、みんないるから仕方なくつるんでるっていう感じなのかもしれない。
「ううん。それで、話って」
「あ、うん…」
できればさっさと話を聞きたい私は、早速話題を切り出す。

