手紙を取り出して、チラッと教室の入り口を見ると、心次とサッカー部員が話しているのが見えた。


とりあえず、中身に目を通す。


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西川早苗さん。
突然の手紙、ごめんなさい。


噂でいろいろ聞いているかとは思いますが、自分の口から言っておきたいことがあります。


今日の放課後、3階の東階段に来てください。





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男子にしてはきれいな字で、そう書かれていた手紙。


周りの女子は、手紙を読み終わったタイミングを見計らったかのように寄ってきて、″どうするの″と茶化す。


「別に…どうもしないよ」


クールにそう交わして、席を立つ。


トイレの個室にこもって、ちょっと考えてみる。


堤って言うんだっけ…。


心次に名前教えてもらったことあった気がするけど、そんなに興味もなかったから覚えてなかった。