ちょっとしたビュッフェスタイルで食べ物をつまみながらお酒も飲んでいると、みんなほろ酔いになってくる。


「ねー、そろそろはっきりさせよっか」


珍しく人格の違う如月さんが後ろから私を抱きしめるようにして言う。


「ちょ、秀弥。恋歌ちゃんから離れて」


相変わらずちょっとぶすっとした表情で薪坂さんが注意する。


「えー、やだ。恋歌ちゃんは俺のなの」


「はぁ?どう考えても俺」


「なに言ってんの、二人とも。俺のだからね」


急に言い合いを始めてしまった三人を焦りながら見つめる。


「ちょっと三人とも。恋歌ちゃん困ってるから」


いつの間にか意識をこちらに戻した城西さんが苦笑しながら間に割って入る。


内心助かったと思ってしまったのは秘密。


「でも、いい機会だと思うよ、恋歌。はっきりさせるには」


早苗が真面目な顔をして私を見つめる。


「そうだね。そろそろ、はっきりさせるべきだと思う」


城西さんも早苗の言葉に頷く。


みんなの視線が一気に私に集中して、ちょっとした緊張が個室を駆け巡る。


「じゃあまず、如月さんにこれ……」


持参してきたブラウスとパンツの入った紙袋を如月さんに手渡す。


「あぁ。別に貰ってくれても構わなかったのに」


中を覗いた如月さんが優しく微笑んだ。