早苗は早苗で城西さんといい感じの雰囲気を作ってるし。
「とりあえず、乾杯しようか」
如月さんがなんだかクスクス笑いながら個室の中央にあるグラスを持ち上げる。
初めからオーダーしてあったのか、シャンパンやワインが氷水に浸って置かれていた。
「そうだね。そうしよう」
如月さんの声でこっちに引き戻されたらしい城西さんが、早苗にもグラスを渡した。
それぞれ一つずつグラスを持って、乾杯の音頭を待つ。
「……え?誰がするの?」
少しの沈黙の後、私が口を開くと、一斉に視線が早苗に注がれた。
「あぁ。そうね、こういうのは私の仕事だね」
なんて笑いながら言って、早苗は一歩前に出た。
「じゃあ……久しぶりの集合を祝して。乾杯!!」
早苗の声で、全員が一斉に″乾杯″とグラスをあげた。
みなさんが私の所に来て、グラスを合わせて行く。
早苗ともちょっとおどけて乾杯をした。
しばらくみんなで他愛もない話をして盛り上がったけど、早苗と城西さんは二人の世界だったから放っておいた。

