マーガレットを抱いたまま、右手は彼の左手をつかんで。
「どこ行きたい?」
駅へ向かって歩きながらそう聞かれた。
どこでもよかったけど、そう答えるのは悪いかと思って少し考える。
「…ボーリング…」
ボソッと呟くように行った言葉を彼はちゃんと聞きとめていた。
「よし、ボーリング行こう」
決まると早くて、城西さんは駆け出すようにして駅の前にある駐車場へ向かった。
「え、何で行くんですか?」
城西さんに引っ張られるようにして走りながら、目を見開いて疑問をぶつける。
「何って、車に決まってるじゃん」
可笑しそうに、さも当たり前だと言わんばかりの顔で、そう答えた。
「車?」
頭にはてなを浮かべながらついていくと、爽やかな青いプレミオの前で、彼は止まった。
ポケットから鍵を取り出してロックを解除すると、助手席のドアを開けて私に乗るように示した。
軽くお辞儀をして、委縮しながらプレミオに乗り込む。
私がきちんと乗ったのを確認して、城西さんは優しくドアを閉めると、自分も運転席に乗り込んだ。

