そんな如月さんの姿を見て、私の入る余地はないって悟った。
だから、恋歌になにも言わず帰ってきたんだけど、却って心配させちゃったみたい。
帰りの電車で涙を堪えながらなんで恋歌ばっかりって悔しくなったのは事実。
あの時ばかりは、本気で恋歌を恨みそうになった。
今では笑って話せるけどね。
「2時45分。予定通りかな」
ケータイを開いて時間を確認して呟く。
立金花は、普通のお花屋さん。
私もたまにお見舞いのお花を買ったり、誕生日プレゼントにお花を買ったりする。
どうして待ち合わせ場所がここなのかは私には分からないけど、いい香りのするお花や、きれいなお花がたくさん並んでいる。
なんとなくそのお花たちに見とれていると、不意に肩を叩かれた。
驚いて顔をあげて、振り向くと、どアップの城西さんがいた。
「きゃっ…!」
あまりにも顔が近すぎて、声を発することも躊躇ったくらい。
「やっと会えた」
私の顔を真っ赤にするような言葉を発して、彼は満面の笑みを浮かべた。

